「のぼる」

船寄剛

2014年9月16日(火)~9月28日(日)
open 12:00 - close 19:00
*最終日は16:00まで、月曜休廊

140916

 

 

ふるさとを記録する自身のシリーズ「まほら」より、祖父・昇の記録。
2000年から撮影、現在に至る。

大正10年生まれ。93歳。現在も元気に暮らす。
いまだに丈夫な歯で3食平らげ、食後のコーヒーも欠かさない。
天気の良い日は自転車に股がり、近くの湖畔へと出掛けて行く。
数年前から耳が遠くなり、近くに住む私の両親と暮らすようになった。
父に畑仕事を譲り、最近は少し手持ち無沙汰のようだ。

永らく祖父の存在は、我々親族にとって大きな拠り所であった。
私のあらゆる価値観も、祖父の生き方に影響されている。

今まで生きてきて、どうだったのか。祖父に聞いた事がある。
いい人生だったが、祖母が行きたかった宮島へ連れて行けなかった事が心残りだという。
祖母は身体が弱く、70歳で生涯を終えた。

その後20年、祖父はひとりで暮らした。
田畑を耕し、ビニルハウスで苺をもぎ、トラックで梨山へ向かった。
毎日仏壇に手を合わせ、趣味の絵画に勤しみ、紫煙を燻らせながら野球や相撲にチャンネルを合わせた。

各地から親族が帰省すれば溢れそうな笑顔で迎え、再び帰ってゆく皆を丁寧に見送った。

私は随分前から、祖父の生き方を美しいと思ってきた。
それは何世代も前から受け継いできた理かもしれない。
私も祖父のように歩いていけたらと思っている。
そして祖父のように人を愛してゆきたいとも思っている。


まほら:すばらしい場所、風土。「まほろば」ともいう。

 

 

■ 略歴 :

 1974年 鳥取県生まれ。 関西大学社会学部社会学科卒業。
 商社勤務の後、写真を始める。故郷をテーマに個展を開催する傍ら、俳優、画家等のポートレートを撮影。

■ 展示実績 :
 個展
  2003年 写真展「HOPE」        :(nadar tokyo/東京)
  2004年 写真展「はわい」        :(nadar tokyo/東京)
  2005年 写真展「想い」         :(nadar shibuya355/東京)
  2007年 写真展「駅」          :(nadar shibuya355/東京)
  2010年 写真展「しじま」        :(gallery re:tail/東京)
  2011年 写真展「まほら」        :(nadar osaka/大阪)
  2012年 写真展「まほら」        :(nadar tokyo/東京)
  2014年 写真展「Woman」        :(monogram/東京)

 グループ展
  2009年 りす写友会 写真展「アルバス」 :(富士フィルムフォトエントランス日比谷/東京)
  2009年 りす写友会 写真展「アルバス」 :(富士フイルムフォトサロン札幌/北海道)
  2010年 りす写友会 写真展「しゃしんわ」:(島根県立美術館/島根)

最終更新 2014/07/23 17:44
 

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